コルニクス
パリーンと、ガラスの割れる音。
じわりじわりと、服に染みていく液体。
「申し訳ありません!」
トイレから出た瞬間、お茶が注がれたガラスのコップをトレーに乗せて運んでいる使用人とぶつかった。
おかげでコップは俺に激突し、中の液体を俺がかぶってから、床に叩きつけられ大破…と。
「お怪我はありませんか!?」
自分も早くお茶を運ばなくてはならないだろうに、
使用人は俺の怪我の心配をする。
「俺は特に…」
「本当ですか!?」
「え、あ、頑丈なんで」
どういう会話だ、と突っ込みたくなるが、向こうがしつこく心配して聞いてきたのだから致し方ない。
「ラクリマ!茶はまだか!」