コルニクス

駄目だ、私の脚力じゃ追いつかれちゃう。

そう思ったとき。

────ラクリマとすれ違った。

「あの、クリュさん」

背後でクリュさんを呼び止めるラクリマの声が聞こえる。

私を追いかける足音が止む。

嫌だ嫌だ嫌だ!
聞きたくない!

ラクリマの声が聞こえない位置へ行こうと、私はそのまま全力疾走する。

私は振り返らなかった。

どれくらい走っただろう。

たいしたことはないと思うが、ひどく疲れた。

私の見解が正しければ、3F構造のインフィニートゥムの階段を、3階分のぼった。

……ん?

1Fから階段を2階分のぼれば最上階に着くから、
3階分のぼったここは…。

屋上っ!?

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