コルニクス
目の前の扉が開くか試してみる。
大きな錠は力を込めるとガコンと音をたてて単純に外れた。
重厚な扉を力一杯押すとギギギギと床とこすれながら徐々に開いた。
それらが私の期待を煽る。
なんで泣きたいんだろう。
なんでラクリマとクリュさんの会話を聞きたくないんだろう。
なんでこんなにも苦しいんだろう。
…そんなことは知らない。
考えてても分からない。どうでもいい。
「きれい…」
満天の星空。
雲は全部足下にある。
何も星の光を遮るものは無い。
何億光年もかけて私のもとに届く儚い光たち。
ただ分かっていることだけでいい。
泣きたい。聞きたくない。苦しい。
…それだけで、いい。