コルニクス
ロマンチストとは無縁の、星空とか興味なさそうなクリュさんが、柄にもないことを言う。
クリュさんは私の肩にジャケットをかける。
紙袋から出したから…ラクリマが洗濯したジャケット。
彼女がクリュさんに告白するときに返したはずの、ジャケット。
「俺たった今分かったことあんだ」
「え?」
「お前を家族と思えない理由」
クリュさんが手すりに肘をかける。
「どうしても俺が、お前を家族と思うことを拒んでたんだよ。
それがなんでか考えているうちに、お前をスパイだなんて疑ったりしたこともあったけど…今、分かった」
クリュさんが私を見る。
月明かりの下のクリュさんの目は、深い深い緑色に輝いていた。