コルニクス
◆THIRTY-THREE

:Kuro's eyes‡


「今、なんて?」

俺の耳はぶっ壊れてしまったのかもしれない。

セルに告白しようと決した俺は、最悪のタイミングで元帥に呼び出された。

今ちょうど、元帥の口から漏れた言葉に、激しく自分の耳を疑ったところだ。

「シアンは私が必死で手に入れ、やっとのことで妻にし、生涯愛したただ一人の女だ」

…俺の耳は潔白であった。

いきなり、シアンと私の関係を問わないのかと言われ、問うた答えがこれだ。

サーッと引いていく血の気。

背筋を一直線に伝う冷や汗。

元帥を二重に感じるほどの眩暈。

バクバクと鳴り響く心音。

───何の冗談だ、それは。

「…なんで」

ファタ・モルガナは俺の父親。

< 495 / 575 >

この作品をシェア

pagetop