コルニクス
◆THIRTY-THREE
:Kuro's eyes‡
「今、なんて?」
俺の耳はぶっ壊れてしまったのかもしれない。
セルに告白しようと決した俺は、最悪のタイミングで元帥に呼び出された。
今ちょうど、元帥の口から漏れた言葉に、激しく自分の耳を疑ったところだ。
「シアンは私が必死で手に入れ、やっとのことで妻にし、生涯愛したただ一人の女だ」
…俺の耳は潔白であった。
いきなり、シアンと私の関係を問わないのかと言われ、問うた答えがこれだ。
サーッと引いていく血の気。
背筋を一直線に伝う冷や汗。
元帥を二重に感じるほどの眩暈。
バクバクと鳴り響く心音。
───何の冗談だ、それは。
「…なんで」
ファタ・モルガナは俺の父親。