コルニクス
とりあえず、告白されて帰ってきたわけではなさそうだ。
「セル、一度落ち着け、な?」
「だって、クロがっクロがっ」
「アルデオ中将、ここにいたんですか」
混乱するセル、それをあたふたなだめる俺がかもしだしたであろう、
倉皇(ソウコウ)とした空気をつんざいた、よく通る声。
いかにもアルデオ中将を探していたと言わんばかりの飄々としたその声は、
確かに聞こえたのに、俺はその中に静寂を聞いた気がした。
「───オルビス」
あまりにも聞き慣れた声なので、言葉の合間の静寂だけピックアップされてしまったんだ。
「オルビス、俺だってなぁ探してたんだぞ」
アルデオ中将が俺らの隣で答える。