コルニクス

「あの、クルシオさん」

「違う」

わぉ…違ったよ……。
が、頑張りますっ!!

頭をフル回転させて思い出そうとする。

名前…この人の名前は…。

目の奥の方が何かと擦れて視界の中央が暗くなった。

……駄目だ、思い出せない。

仕方がない。誤魔化そう。

「洗濯物をお持ちしました」

「どうも」

お?
突っ込まれなかった。

あの人鋭そうだから見抜かれていそうだけど…

敢えてスルーしていただけたならありがたい!!!


きちんと覚えて出直してこよう。

おでこと耳の間が突っ張る感覚が敏感に感じとれた。


冷や汗が出そうなほどの焦燥感。

それもやきもきも気をもみもしないほうの焦り。

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