コルニクス

書斎の人々の呟きが束になってざわざわする。

…これ、止めたほうがいいよね!?
止めるのって俺しかいないよね!?
俺の役目なんだよね!?

「まあまあ2人とも…」

「うっせーんだよ綺麗事ばっか吐きやがって!!」

「これが綺麗事に聞こえるんならてめえの耳は腐ってんだな!!」

…手に負えません。助けてください、誰か。

俺が何も言えずただ茫然と突っ立っているのは、
2人の気迫に負けたと言うのもあるが、
この喧嘩がただの喧嘩ではなく、そこに2人の剥き出しの意志が存在しているからだ。

人の意志がぶつかり合う争いというのは、こんなにもピュアなものなのかと、肌に突き刺さるように実感する。

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