コルニクス
◆THIRTY-FIVE
太陽は心なしかいつもより元気で、容赦なく私を照りつけ、じりじりと胸を焦がす。
突き進むインフィニートゥムに切り裂かれた空気が、風となって私の頬をかすめる。
それと同じ風に乗って飛ぶ渡り鳥たちが戯れるのを、甲板からただ眺めていた。
私はクロに何かしたのだろうか?
それともクロは私に限らずああいう態度をとるのだろうか?
クロに…何があったのだろう?
キィ…
ある程度重圧感のある甲板の扉が開く音を聞いても、私は何も感じなかった。
…結局は私が頼りなかったせいだ。
クロが私に身を委ねたときに、私は頼られたんだ。
一瞬でも必要とされたんだ。
…私じゃ力になれなかった?
「あー…」