コルニクス

それはまるで、お風呂の浴槽の排水溝に水が吸い込まれていくときの、
コリオリの力によって反時計回りに小規模な渦を巻く水たちのような。

矛盾が私の心臓の壁を内側から叩くように打ち鳴らす。

「横風が強くなってきた。危ないから戻ろう」

「早速アンジェリカ夫人に会いに行くんだね」

「や、そんなすぐには…」

でも、私は応援する。

アンジェリカ夫人とは、私が話を持ちかけた時点で協力関係にある。

クロには、好き"だった"と言われた。

私がクロを好きかどうかは分からない。

だから、応援する。

クロとアンジェリカ夫人の現在進行形の…
……いや、未来形の恋を。

「今すぐ夫人のとこに行きなよ」

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