コルニクス

「…違うっ!クロの!!」

デンスのスピードはかなり速く、ついて行くだけでもやっとで、話すのは相当苦しい。

でもその足も、目的地に着けば止まる。

「何の騒ぎだ…」

息急き切って駆けつけた先は、人だらけだった。

「みんな声を聞きつけたんだ。この先が元帥の部屋だよ」

その言葉を聞いてひとつ深呼吸。

私は覚悟を決めて人だかりに飛びこんだ。

ぐいぐいと人をかき分け、押しやり、合間を縫って、潰されかけながらも、
やっとのことでたどり着いた最前列は、私にむごたらしい光景を見せた。

部屋の中央に、床にへたりと座りこんでいるクロがいた。

左肩から腕までを、
真っ赤に染めたクロが───…。




< 532 / 575 >

この作品をシェア

pagetop