コルニクス
「…違うっ!クロの!!」
デンスのスピードはかなり速く、ついて行くだけでもやっとで、話すのは相当苦しい。
でもその足も、目的地に着けば止まる。
「何の騒ぎだ…」
息急き切って駆けつけた先は、人だらけだった。
「みんな声を聞きつけたんだ。この先が元帥の部屋だよ」
その言葉を聞いてひとつ深呼吸。
私は覚悟を決めて人だかりに飛びこんだ。
ぐいぐいと人をかき分け、押しやり、合間を縫って、潰されかけながらも、
やっとのことでたどり着いた最前列は、私にむごたらしい光景を見せた。
部屋の中央に、床にへたりと座りこんでいるクロがいた。
左肩から腕までを、
真っ赤に染めたクロが───…。