コルニクス
◇THIRTY-SIX
:Kuro's eyes‡
マズ……。
元帥の部屋に入るなり差し出された、アーモンドの絵がプリントされている箱。
たった二粒残されたアーモンドチョコレートをすすめられたのだ。
そのうちの一粒を口に入れて奥歯で噛みしめると、
なんともほろ苦い化学物質の風味が口いっぱいに広がった。
なぜだか堅い。
妙に粉っぽい。
非常にマズい。
「すまなかった」
「え…!?」
突然の謝罪に、アーモンドチョコレートのマズさもこの不快感も一気に飛び散った。
「何が」
「それはわからん」
なんだそれ。
というか何よりも元帥が俺に頭を下げた。
明日はきっと嵐がくる。
「お前は私に言った。もっと早く言えと。そう怒鳴った」