コルニクス

…なんだ、その話か。

「…だから?」

「…だから、なぜ早く言わなければならなかったのかはわからんが、すまなかった」

元帥は箱に残った最後のアーモンドチョコレートを自分の口に放り込んだ。

「もう過ぎたことですし、こちらも申し訳ありませんでした」

俺もなんでこの男にこんなに素直なんだ、気持ち悪い。

「最後にできるだけ話しておこうと思ってな」

…最後?

骨が疼いた。

銃で弾を発射したときに腕に走る振動のように響いた。

この男の今の元帥という称号は、父親にもらったものらしい。

俺の祖父にあたるその男は、ルナ・ファミリアの創設者で、息子なので当たり前のように受け継いだという。

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