コルニクス
疫病神にならずに済んだ。
あんなに辛い思いをすることも、あんなに泣くこともなかったんだ。
「大丈夫ですよ、」
それでも。
「私には翼がありますから」
クロやテラ・ファミリアのみんなに会うこともなかった。
確かに私のこの特殊能力がなかったら、地上での幸せな生活が待っていたかもしれない。
でも私は、
みんなに会えなかった人生も、
空の楽しさを知れなかった人生も、
翼が無い人生も嫌だ。
空が大好き。みんなが大好き。今が大好き。
「ひとつ教えてくれませんか」
「?」
顔を上げた元帥が私の言葉を待つ。
「なんでお母さんに地上で幸せに暮らしてほしくなかったんですか?」