コルニクス

元帥が立ち上がる。

「空に戻ってきてほしかったからだ」

私の知ってるお母さんは、空の話などしなかった。

「戻ってこなかったんですか?」

「いや、忘れ物を取りに一度だけ戻ってきた」

忘れ物?

「でもシアンはその取り返した忘れ物も地上に戻る途中で落としてしまったんだよ」

シアンはおっちょこちょいだからな、と元帥が笑った。

確かに、お母さんはおっちょこちょいで可愛らしかった。

「そのシアンの落とし物を、マルス・ファミリアのイン・クルシオがたまたま拾ったというわけだ」

…?

ここでクルシオさんまで出てくるの?

訳が分からない、と辺りを見ると、クルシオさんが複雑な表情をしていた。

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