コルニクス
食堂の前の方に立つ。
普段なら、食べる前に皿を受け取りに行く楽しみなところなのに。
今の俺には余白しかない。
何もかも決まっていない、真っ白な余白。
「ラクテウス・オルビス准将」
元帥の低い声が、迷いのある俺を引き締める。
背筋が自然に伸びる。ぞくぞくと鳥肌がたつ。緊張がほぐれる。
「そなたをルナ・ファミリア3代目元帥に任命する」
「謹んでお受けいたします」
その瞬間ずしりと俺の肩に何かが乗っかってきた。
おそらく、責任や義務。
俺は、元帥を拝命した───…。
そんな実感も当然のごとく無いまま、
任命書を受け取る。
そして挨拶だかなんだか、マイクを渡される。