コルニクス
手はふるえていない。
息も整っている。
大丈夫。
俺はいかにもなありきたりな挨拶をし、そこそこで切り上げ、終わらせた。
だって挨拶をするために元帥になりたかったわけじゃないからな。
もういいや。
今すぐにやってしまおう。
俺の、元帥としての最初の命令…
いや、最初で最後の命令を。
俺はマイクを少し離す。
マイクを握る手に力を込めた。
食堂にいる人々は、挨拶が終わったのにまだ何かあるのかと、俺を見ている。
悔しそうな大将も、嬉しそうなアンジェリカ夫人も、やりきった顔をしているファタ・モルガナも。
今からその気持ちは壊れることになると思うけど、聞いていてくれ。