コルニクス
「え?」
何かしたっけ、私。
「扉の鍵閉めにきたら誰もいないはずの屋上に人がいたんだ、驚かせるなよ」
驚かせるなよ、俺がじじいになる。
ふとよぎる光景。よみがえる声。
何だ、今の。
「…え、鍵閉めるんですか?」
「当たり前。屋上は玄関だぞ」
そっか…すみません。
「復習?」
「あ、はい」
「ステルラが自信満々に言いふらしてた。
自分は完璧に教えた。セルは明日にでも飛ぶって」
「明日飛ぶのか…私」
そんなにすぐ乗りこなせるものなの?
「緊張してんの?」
「いえ、まだ部位の名前しか教えてもらっていないので、実感が湧きません」
「は?」
クリュさんの驚いた声に、私も驚いた。
「部位の、名前だけ?」
「はい。名前だけ…です」
どうかしたのかな?
なんか、嫌な予感が…。