コルニクス
突然のデジャヴに驚きながらも、
私はだんだんと近づく月に心を躍らせていた。
「で、テラ・ドムスの壁が無くなったらスロットル全開」
こっち向きにひねるんだ。と付け加えたとき、冷たい夜風が私の髪を揺らした。
気持ち良い~と思ったのもつかの間、
「よし、帰るぞ」
と乾いた声が聞こえた。
「え、もう!?……ですか」
「教えるだけだろ。飛行艇のエンジン音がするから今頃みんなびっくりしてるぞ」
ものすごく納得して私は首を縦にふる。
「あの、ありがとうございます。
遅いだの眠いだの寒いだの暗いだの言っていたのに」