コルニクス

……違う。デジャヴなんかじゃない。

実際に経験したんだった、私。

その時は、クロが隣にいて……

「……っ」

「おい?」

クリュさんが操縦席から顔を覗きこむ。

ステルラ・トランスウォランスは既に着陸していた。

「どうした?」

クリュさんは明らかに驚いていた。
というか、焦っていた。

俺なんかした?とか、そんなに敬語やめたくないのか?とか…

なんか申し訳ないな。

一度断った私のお願いを引き受けてくれたのに。

でも、クリュさんが悪い。


クロを思い出させたのが悪い。


……そもそも私ってクロを思い出すことを拒んでいたっけ?

それってクロを忘れようとしていたってこと?

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