コルニクス
へ?泣いてる…?
「何したの、クリュ兄」
ステルラが疑心の目でクリュさんを見る。
「クリュさんは何も!クリュさんごめんなさい。ありがとうございました」
私はクリュさんに頭を下げる…途中ではっと気づき、頭を振り上げた。
「「!?」」
クリュさんもステルラも驚いて目を見開いているのが月明かりで分かる。
「じゃなくて、ごめん。ありがとう」
"ごめん。ありがとう"
そう言って私の手を包み込んだあの日のクロが、私の頭の中で映像化されてよみがえった。
涙が溢れる。
視界はぼやけるのに、頭の中の映像はぼやけなくて。
これじゃ、自爆じゃん。
でも決してぼやけても、色褪せてもほしくない思い出。