コルニクス

「セル泣くんじゃない?」

「え…また?」

「泣っかないもん!!」

勢い良く頭を上げると、

ゴツンッ!!

「いったぁーっ」

「痛…」

後頭部に何かがぶつかって、
クリュさんが自分のおでこをさすっていた。

私の顔を覗きこもうとしていたのかな。

「あ~いた~い…」

「そんなに会いたいの?やっぱり恋?」

「痛いって言ったの~」

「俺の方が痛い」

お母さん以外口をきいてくれなくて、

お母さんが死んでからは話し相手がいなくて、

声の出し方さえ忘れるほどで、

村を追い出されるときに声をあげて泣いて、

クロと出会って、クロと話して、

そして今はもう、テラ・ファミリアの皆と当たり前のように話している。
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