コルニクス
でも、そんな煩悩を振り払えるほどかたくないし強くないし。
朝日の光がテラ・ドムスの壁の穴から射し込んで鋼の板を光らせる。
肌寒い早朝の日光はあたたかすぎて、鳥肌がたち身震いした。
「さあ、引いて」
ステルラがGOサインを出す。
「ちょっと待った」
横からSTOPのサインが出る。
日光に照らされたクリュさんが歩いてくるところだった。
「おはよう、クリュ兄。これからセルの初のフライトなのよ」
「ステルラ、代われ」
「え?」
「そこ。代わって」
ステルラは訳が分からない、といったような顔をしている。
実際、私も訳が分からない。
「セルの教育係は私よ?初フライトも私が指導するわ」