コルニクス
「感動のあまり…」
「涙かかるんだけど」
そうだ!クリュさんの顔、そんなところにあるんだった!!
忘れかけていたことを思い起こして赤面する。
真正面から当たる風が涙を吹き飛ばしているなら、
この火照った顔の熱も覚ましてよ!!
「じゃあ手離すぞ」
「え」
顔の熱を冷ましたのは、紛れもなく顔を火照らせた原因であったクリュさんの言葉だった。
今離すって言った!?
「ちょ、離さないでっ!!」
や~自分で言ってて恥ずかしいセリフ。
「大丈夫。操縦桿、意外と軽いからしっかり抑えろよ」
「だから待っ…」
私がすがったのも虚しく手の温もりは消え、指と指の間さえ風が通った。