コルニクス
私はこの今しか無い初フライトを記憶しておこうと、朝日を直視した。
クリュさんが「引き返そう」と言った瞬間に、
ステルラ・トランスウォランスの頭上を通過し、私の視界に入った黒い機体。
朝日の光を遮るその黒い翼は、私の目を飛び出てしまいそうなくらい見開かせた。
それはまるで、大きすぎる鴉のようで。
「クリュさん!あれを追って!」
「はあ?なんで」
「いいから!!」
「無茶言うな…っ」
クリュさんはそんなことを言いながらも体を起こし、操縦桿を一緒に握ってくれる。
クリュさんの手が操縦桿を強く手前に引く。
「スロットル、ダウン!」
スロットルを切る。
「エレベータ、アップ!」