年下彼女に負ける俺-1-
「それ、言わなくてもいいことだって気づいてる?」


えっ?と言う聡ちゃんは、気づいてるのに気づいてないふりをする。





そして私はもう一つ疑問に思ってたことを聞く。


「いつから私が隣にいたことに気づいたの?」


私の質問に、聡ちゃんは入ってきた時から、と言った。





「美桜子が気づいてないから、他人のふりして待ってた。」


まっ、結局バレたけど…と聡ちゃんが言ったところで、電車のドアが開いた。




ついさっきまで私の後ろにいた痴漢のおじさんは、すぐに電車を降りて行った。






「警察に行かなくて大丈夫?」


「聡ちゃんが助けてくれたから大丈夫。」


もうそれだけで十分だからと言ってニッコリ。
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