年下彼女に負ける俺-1-
「あの二人、両想いだから。やっぱり蜜を見つけるなら拓さんしかいないでしょ。」


確かにと言った浅間は、納得したようだった。

そしてその場から立ち上がれば、泳ぎに行ってくると言った。




浅間が海の方へと行ってしまった頃に、入れ違いで綾野さんがやってきた。

私の隣に座れば、彼女は話し始めた。





「なんで今日、みんなで海に行くことになったか知ってる?」


いいえと私が答えれば、彼女はふふんと笑った。





「聡介、最近仕事がうまくいってなかったの。」


みんなの前では牧野君と呼んでいたのに、私の前では聡介と下の名前で呼ぶ綾野さん。

私でさえも、下の名前で呼んでいないのに。



そして真っすぐと海を見る綾野さんは、大人の女性だった。

そんな彼女を見ると、私はますます自信がなくなってきた。




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