年下彼女に負ける俺-1-
車内でも無言のままだったけど、今度は私から話した。



「話、聞かないで勝手に怒ってごめん。」


私はまだ子供だから。

そう思っても、そんなのは言い訳でしかなくて、なんとでも言えることなんだ。





「あの日、仕事終わったら俺の家に行きたいって言われて。本当はすぐに美桜子に連絡しようと思ってたんだけど…」


「もういい。もういいよ。」


もういいのは本当だけど、私には気になることが一つあった。




「聡ちゃんの家に行きたいって言った人って誰?」


どうかあの人ではあってほしくない。

だけど、そんな思いが届くことはなかった。
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