高天原異聞 ~女神の言伝~

 カチリとドアをロックする音がして、背後から慎也が体重をかけてくる。
 そのまま美咲はキッチンの床に膝をつかされる。

「ちょっと、どうしたの?」

 美咲の問いには答えず、背中からしゅるりと衣擦れの音がした。
 それから、両腕をひとまとめに捕まれ、手首に何かが巻き付く。
 抗うこともできずに、あっという間に手首が縛られて拘束された。
 そのまますぐにシャツのボタンが上から外されていく。

「慎也くん? なんで――」

 慎也は美咲の問いかけに全く答えない。
 窓からもれる外の明かりだけで、ほとんど暗がりの中、美咲は混乱した。
 ブラのホックが外され、直に素肌に慎也の手が触れる。
 乱暴な手つきに、美咲は脅えて逃れようと身を捩った。

「やめて、やめ――」

 左手が、美咲の口元を覆った。



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