高天原異聞 ~女神の言伝~

 驚いて美咲の動きが止まる。
 そのまま右手が胸を探り、揉みしだく。
 触れているのは慎也の手のはずなのに、別の誰かのようで、恐怖に鳥肌が立つ。
 口元を覆っていた手がスカートを乱暴にたくし上げて太腿の内側を撫で上げた。

「やだ、怖い! やめて!」

 美咲は、声を殺して泣き出した。
 そこでようやく、慎也は美咲の身体から手を放した。
 靴を脱ぐ音がして、キッチンの明かりがつけられる。
 突然明るくなった視界に、慎也が入ってくる。

「俺が触ってたって、こんなに嫌がるでしょ。他の男だったらどうするの? 泣いたって、途中でやめてなんてくれないよ」

 美咲を抱き起こすと、慎也は靴を脱がせ、腕を拘束していたネクタイをほどいた。
 ベッドまで連れて行って座らせると、今度はこちらの部屋の明かりをつけ、キッチンに向かう。
 冷蔵庫からミネラルウォーターをグラスに入れて戻ってくる。




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