高天原異聞 ~女神の言伝~
地に描いた悪しき言霊の創る禍つ紋様が蔦のように、慎也に絡みつく。
「慎也くん!?」
「美咲さん、来ちゃダメだ!!」
紋様は慎也を捕まえると地に描かれた円陣に慎也を取り込んでいた。
「建速、たすけて!!」
「――あれは、禍つ言霊で創られた呪詛の紋様だ。破れない。今は手が出せん」
建速が舌打ちして呟く。
「慎也!」
言うなり、建速の手が上がり、神威が放たれた。
紋様の隙を縫い、慎也に絡みつき、吸い込まれる。
途端、抗っていた慎也の身体から力が抜ける。
がくりと膝をつく。
「必ず救ける!! 待っていろ!!」
膝をついた慎也の身体が、徐々に沈み込んでいく。
建速の腕の中で、美咲はそれを見ているしかなかった。
「いや……」
慎也を呑み込み、紋様が消えていく。
「いやぁ――――――!!」