高天原異聞 ~女神の言伝~

「ごめんね、美咲さん。怒らないでよ」

 扉の前まで来ると、すぐ後ろにいた慎也が身を乗り出して引き戸を開けてくれる。

「でも、美咲さんがあんまり可愛いから」

 恥ずかしげもなく言う慎也に、美咲のほうが赤くなる。

「そういうことを、言わないで!」

 結局、傘を持っていても使おうとしない慎也のせいで、美咲は慎也と相合傘で返る羽目になった。




< 31 / 399 >

この作品をシェア

pagetop