高天原異聞 ~女神の言伝~
2 学校の怪談
二度の國産みが失敗に終わったとき、男神と女神は大いなる意志を持つ、創めの独り神に詔《みことのり》を戴きに天へと戻った。
天主たる造化三神は二柱の神の奏上を聞き、答える。
――女神から声をかけてはならぬ。
――言祝ぎは、男神からするものである。
――再び天の御柱から創めるがよい。
神命に従いて、二柱の神は再び天降る。
男神は左。
女神は右。
出逢った場所で、言祝ぎを。
今度は、男神から。
続いて、女神が。
そして二柱の神は褥で交合う。
二神が一つになったとき、八尋殿に美しき言霊《ことだま》が満ちた。
女神のあえかな声が、大気を満たし、世界を満たす。
交合いとともに、次々と神々が生まれた。
大八洲はあらゆる神々で満たされた。
御所の交合いから生まれた神々は、緑の茂る豊葦原に降り、国津神々となった。
彼らこそが、美しき豊葦原の中つ国となった。