高天原異聞 ~女神の言伝~
 
 最初に慎也が言ったように、山中の頼んだ資料は、慎也が5分もかからずに見つけてきた。
 かける言葉を捜せずに、美咲は資料の半分を受け取った。

「――」

「ごめんね、美咲さん」

「え――?」

 慎也からの謝罪に、美咲は驚いて顔を上げた。

「まだ怒ってる?」

 美咲は慌てて首を振る。
 慎也のほうが怒っていると思っていたのだ。
 美咲がそう言うと、

「怒ってるっていうか――美咲さんじゃなくて自分に、呆れてた。我ながら、がっついてるなって」

 慎也は苦笑した。

「嫌がってる美咲さん、最高に可愛かった。無理やりしたくなるほど」

さらりと言われて、顔が赤くなるのが自分でもわかった。



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