高天原異聞 ~女神の言伝~
「ど、どうしてそう言うこと口にするのよ!」
慌てる美咲に、してやったりという顔で慎也は続ける。
「ちょっとした仕返し。だって、美咲さん、未だに俺をアパートに入れてくれないし」
「それは――」
「一緒に帰るのも、未だに嫌がるし」
「嫌なんじゃないわ、でも――」
「でも、内緒にしておきたいんだよね。年下の高校生と付き合ってるってばれたら困るから」
「――」
「内緒にするのは構わない。でも、卒業するまでキス以上おあずけっていうんなら、それは勘弁してほしい。そこまでは我慢できそうにないし、待ちたくない」
最後の言葉は、おどけたようには聞こえなかった。
「――」
昼休みの終わりを告げる予鈴の鐘の音が遠くに響いた。