高天原異聞 ~女神の言伝~

「さて、国津神が護っているから、この中つ国では黄泉神も思うようにならぬようだ。ここらで少し女神の記憶を揺さぶるか」

「女神を危険にさらすのですか」

「多少の危険を伴えば、交合う気になるだろうよ。吊橋効果とかいうやつだ」

「吊橋、効果、ですか……?」

 首を傾げるかつて随神だった男を見て、今度は荒ぶる神が苦笑した。

「俺も、人の世に永くいすぎたな」
















< 64 / 399 >

この作品をシェア

pagetop