高天原異聞 ~女神の言伝~

「美咲さんが躊躇う理由がわからない。俺は美咲さんが好きだから触れたい。美咲さんは、違うの? 俺に触られるの、嫌なはずないよね。だって、すごく気持ちよさそうだったもの」

 見透かされた羞恥に、美咲の顔が赤くなる。

「何が怖いの?」

 そう問われて、美咲は気づく。
 怖れている自分に。
 そうだ。
 怖いのだ。

 とても、怖い。

 全てを奉げて、見捨てられたら、そのあとどうすればいい?
 慎也の気持ちを疑いたくない。
 けれど、どうしても信じきれない自分がいる。
 信じて裏切られるのは嫌だった。

 そう、前のように――






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