高天原異聞 ~女神の言伝~
「気にならないの? 一歩間違えば死んでたのよ?」
驚く美咲に、慎也は首を傾げて、答える。
「気にならないわけじゃないけど、考えてもわかんないし。結果として無事だったからいいや」
「そんな、簡単に割り切っちゃうの……?」
呆れ顔の美咲に、慎也は小さく笑った。
「今、俺の世界の中心は美咲さんだから、基本、美咲さん以外はどうでもいい」
美咲の両手を掴んで自分へと近づける。
「美咲さんがいてくれれば、何にもいらない」
「そんなこと言わないで。まだ高校生じゃない。自分の好きなこと、何か無いの」
「特にない」
即答に、美咲は困ってしまう。