高天原異聞 ~女神の言伝~
二時間後に。
そう言って、慎也は勤務時間を終えた美咲をアパートの前まで送ると、一旦自宅に帰っていった。
その間に、美咲は今朝の朝食の後片付けをし、簡単に部屋を整えてからシャワーを浴びた。
髪を乾かすと、鏡に映った自分の姿を見た。
いつもは横髪を後ろに結い上げているが、今はそのままだ。
いつもは薄くしている化粧もしていない。
洗ったばかりの部屋着のワンピースに素足。
これから慎也が来るなら、もっときちんとした格好をしたほうがいいのだろうか。
だが、今更というような気もして、それもためらわれる。
迷っているうちに、時間ばかりが過ぎていく。
時計を見ると、もうすぐ約束の九時だ。
慌てて、脱衣所を出ると、もう一度部屋を見渡す。
ベッドのシーツは替えたし、ドレッサーの小物も片づけた。
引き戸で仕切られた台所とトイレはすでに片づけ終えた。
脱衣所の洗濯機は乾燥に切り替わっている。
ナイトモードにしておいたから、朝までは大丈夫。
もうすぐ慎也が来て、この部屋ですることを考えると、胸がどきどきする。