高天原異聞 ~女神の言伝~
慎也が手を放すと、美咲はまずキッチンの明かりを消した。
そのまま部屋に進む。
後ろからは慎也が続く。
肩掛けしていたデイパックをベッドの脇に下ろす。
美咲がリモコンのボタンを押すと、部屋が暗くなった。
「脱がせていい? それとも、自分で脱ぐ?」
「自分で脱ぐから、あっち向いてて……」
「了解」
暗闇でも恥ずかしかったので、美咲は背を向けて服を脱いだ。
全部脱ぐとベッドに横たわり、掛け布で身体を隠す。
暗闇になったことで、少しは落ち着くかと思ったが、鼓動は速いままだ。
替えたばかりのシーツが裸の背中にさらりとして心地よい。
美咲に遅れて服を脱いだ慎也が、掛け布をめくって美咲の隣に入り込んでくる。
暗闇に目が慣れると、カーテンの隙間からもれるわずかな明かりで、慎也の輪郭をとらえた。