スリーポイント
「………っ」
その声に反応して、つい、持っていたバスケットボールを落としてしまった。
ハッとしてボールを拾い上げると、帽子を深く被り直し、クルリと後ろを振り返った。
やっぱり、あの人だ……。
「なぁ、お前って確か……」
「─…す、すいませんでした!」
「はぁ?」
怖くて。
恥ずかしくて。
泣きそうで。
話し掛けられたけれど、慌てて持っていたボールを彼に突き出した。
「ちょっ…!?」
そして、そのまま家へ全力疾走する。
自分でも信じられないくらい、速く走った。