スリーポイント
彼のことを、私は全然知らない。
唯一知ってることと言えば、2つしかなくて。
1つは、バスケットが大好きなこと。
もう1つは…、お世辞にも上手いとは言えないくらい下手なこと。
だから、彼がどんな人かなんてわからないけど、今言った言葉にはびっくりした。
「……ま、理由なんかどうでもいいか」
「…え?」
「あんた、いつも俺のこと羨ましそうに見てたから、気になっただけだ」
彼が苦笑いをこぼしながら、呟く。
羨ましい…?
私、そんなこと思ってない。
だって、だって私は……。
「だから、もう泣きそうな顔すんな」
そう言って、彼は私の頭を自分の肩にのせるように引き寄せた。