スリーポイント
そんなわけで、彼との間には穏やかで静かな空気が漂っていた。
…なのに。
「……っくしゅん!」
「……」
…恥ずかしい。
穴があったら入りたい…っ。
私がくしゃみをしたおかげで、そんな空気は壊れてしまった。
ちょっとショック。
「もう大丈夫そうだな」
「…ありがとうございました」
彼の肩に預けていた頭を戻して、涙で腫れているだろう目蓋をソッと撫でる。
うわ、やっぱり腫れてる。
家に帰ったら、ちゃんと冷やさないと。
「ほら、これ飲んだら?」
差し出されたのは、さっき私が飲んでいたスポーツドリンクと、使用していたタオル。
「……ありがとうございます」
それらを受け取って、タオルは膝に置いて、スポーツドリンクはごくごくと飲んだ。