スリーポイント
第二章
見栄と意地
ガンッ
ガンッ
「あぁ、マジうざい!なんで入んねーの?」
「…もっと、膝使って」
「膝ぁ!?」
「う、うん。意識してみて」
私がアドバイスすると、逆ギレしているような返答に戸惑ってしまう。
もう、似たようなやりとりも何度目かな…?
「ああ、ちょい休憩ー」
20分くらい全力で動き続けた彼は、汗を服の袖で拭いながら私の座っているベンチに向かってくる。
鞄から急いでタオルとスポーツドリンクを出し、横に座った彼に渡した。
「あ、果歩先輩。ありがとー」
「うん。いっぱい飲んでね」
ゴクゴクと喉を鳴らしながら勢い良く飲んでいる彼に苦笑いしつつ、手に持っているノートに目を向ける。
(えっと…52本中シュートが入ったのは17本、か)
まだまだ、下手だな。