嵐の日から(短編)
「…私…これで本当に自由になったんだわ…!
もう何かに怯えなくてもいい…。
何も怖くない…!
これからは何でもできるのよ」
ベラトリスは両腕を広げ、浜辺を軽やかなステップで踊り回り勢いよく海に飛び込んでいきました。
自分以外に誰もいない広い海で、歌いながらはしゃいだり泳いだりしているのです。
彼女にとってイヴァンと離れて以来、これほど楽しいことは一度もありませんでした。
何年ぶりでしょうか、大声を出して笑い、生きる幸せを感じたことは。
彼女は、幾度も名前を呼ばれるまで全くアーリャに気が付きませんでした。