嵐の日から(短編)

天気はあまりに素晴らしくてますます怪しいのでした。



間違いなく何かが起きずにはいられないでしょう…。



ベラトリスはその事を感じていました。










遠くの水平線には『真っ黒くて大きなもの』がだんだんと大きくなり、こちらに近づいてきます…―








彼女は言い知れぬ恐怖に怯えながら庭先に出ました。




海からの風もポカポカとした陽射しも彼女を慰めるものには一切なりません。





ベラトリスは臆病なので友達のアーリャに会うことにすら怯えているのです。

(決してアーリャは怖い人ではなく上品で気立てが良いお嬢様なのですが…)





そもそも彼女が怯えるのは、アーリャに対してではなく、自分のなかでどんどん大切になることでより一層失ったときの痛みが強くなることなのです。









「どうしてこんなにもこの世は怖いものが多いの…

あぁ、ヴァーニャ…貴方がいなくなってから私、こんなに弱いってわかったの」


両手いっぱいに花を摘んで彼女はひとりごちました。








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