TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「昨日のお前が言ったように、死ぬ方が楽なのかな、とか考えちゃったりしてさ。ああもう、自分の言っていることも分かんねえや」

はは、と自嘲気味に乾いた笑いを浮かべる桧野。
そんな桧野を見て、なぜだかわたしは泣きたい衝動に駆られた。

「そんなことない! あのときの桧野の意見は正しかったよ!」
「だけど、北條は? あいつを見てみろよ。俺の意見はあいつを苦しませてるも同然なんじゃねえの?」

静かに、だけど怒気のこもった声で、桧野が言い放った。
いつもへらへらと笑っている桧野はこんな風にきっぱりと感情を表したことがなかったので、わたしは驚いて押し黙ってしまった。

そんなわたしに何を察したのか、態度を一変させ申し訳なさそうに目を伏せた。

「ごめん。ごめんな。柳川はなにも悪くないのに、なんか八つ当たりしちゃって」
「べ、別にいいよ、そんな謝らなくて」

ストレス、溜め込んでいるんだろうな。
ここに来てから彼の涙を見ていないし、いつも先頭を切ってみんなをまとめてくれる。
もう嫌だ、死にたい、と絶望的になっているみんなを励まして。
それってものすごく苦労することだよね。
どれだけ苛々するだろう。どれだけ泣きたくなるだろう。

それを桧野は我慢していたんだ。
それで気分が紛れるのなら、八つ当たりくらいしてくれても構わない。
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