TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
なぜだと舞香に訴えると、彼女は哀愁を帯びた声で言った。

「ここから解放されるには死ぬしかないんだよ」

そんなことはないと抗議を試みるが、簡単に首を振られてしまう。

どうしたのだろうか。
もうすでに舞香は壊れてしまったのだろうか。

「昨日の更沙の意見はあっていたんだよ」

艶を失ったツインテールを揺らして、薄っすらと笑いを浮かべながら、確認するように舞香が呟いた。

わたしは違うと否定しようとしたが、それよりも早く舞香が動いた。
しなやかに立ち上がり、桧野の前に仁王立ちをする。
そして鋭く言い放った。

「ねえ。殺してみてよ」

挑発しているかのような口調。
その目付きはどこか猟奇的で。

わたしは怖くなって何も言えなくなってしまった。
わたしの知らない舞香。
今にも襲い掛かりそうなほどの乱暴なオーラを放っている。

当然桧野はことを飲み込めないようで、とぼけたように首を傾げていた。
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