TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
それは確かに担任の先生の声だった。
だけど何を伝えようとしているのか、何のことを言っているのか、さっぱり分からない。

わたしは首を傾げて、隣にいた舞香に何のことだろうと目で訴えた。
舞香もさっぱり、というように両手をあげていた。

そんなとき、わたしの腕に何かひんやりとしたものが当たった。
何かと思って振り返ると、わたしの腕は何者かの手に掴まれていた。

「なっ……ちょっと、止めてよっ」

それが言うが早いか、わたしの口元に生温かいものが覆い被せられた。
焦って隣を見ると、わたしと同じようにもがき苦しんでいる舞香がいた。

「ま……いか……っ!」

必死にその名前を呼ぼうとするが、口に何かが覆い被さっていて声を出せない。
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