TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
――そんなことはない。
わたしはちゃんと思考ができ、自分の意思で行動することができる。
どこが狂っているというの。

脳内がそんな疑問で溢れたのを感じ取ったのか、舞香が顎に手を当てながら答えてくれた。
その顔には憐れみの笑みが浮かんでいる。
嘲笑うかのような、同情するかのような、わたしを不快にさせる笑みだった。

「この状況にいることを不思議に思わない。逃げようと思わない。それって“普通”なの?」

どうなのだろう。

舞香の言葉は重みがあって、わたしを考えさせた。
隣では同じく桧野が深刻そうな顔をして唸っている。

「……だけど、死ぬことと解放されることを一緒に考えちまうのはおかしいと思うけど」

しばらくして、ぽつりと桧野が呟いた。
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